サラの裁縫箱

リングピロー製作日記

待ち針

待ち針

洋裁を始めた頃使っていた待ち針は、トップが花の形をした大きくて長い”セル待ち針”でした。
長くやる内にだんだんヘッドが小さくて、細く短い待ち針に変わって行きました。
その方が作業が早いし、邪魔にならないし、つけたままミシンをかけたりアイロンをあてる事ができるからです。
今となっては何故あんなに大きな待ち針を使えたのだろうと不思議に思うけれど、当時は小さな待ち針は心もとなくて、ピンクッションの待ち針を全てシルクピンに変えるのには勇気が要りました。
そしてシルクピンやドレスピンを使いこなすようになると、なんだか洋裁の腕が上がったような気になったものでした。
先日、母が使っていた小さなお裁縫箱が出て来ました。
その中には、花の形のセル待ち針がありました。
「これって使いにくいでしょ?」と聞くと、「年をとったらこっちの方が良いの」と言いました。
老眼で針先が見づらくなって、手先も思うように動かなくなると、小さくて細い待ち針より、持つ所の大きな、長い待ち針の方が使い易いそうです。
いったん虫ピンレベルまで到達した私の”待ち針”も、この先また少しずつヘッドが大きく、太く長くなるのかなぁ〜と、可愛いセル待ち針を手にしながら思いました。
ウエディングドレスまで縫った、私の洋裁の先生だった母も、もう針を持つ事はなくなりました。
アトリエサラ