サラの裁縫箱

リングピロー製作日記

お豆腐の味

saradana2008-04-23

 今日は少し動くと汗ばむくらいの陽気だったので、買っておいたお豆腐を冷や奴にしていただきました。
冷たいお豆腐が食卓に登場したのは今年初めてです。
夏になれば大葉や茗荷ものせるけど、今はまだ薬味は普通にネギと鰹節とショウガだけの何のひねりもないシンプル冷や奴です。

 小学生の時に住んでいた家のお向かいがお豆腐屋さんでした。
朝早くから戸の開く音や水を流す音がうるさかったし、学校に行く頃には前の道が水浸しになっていて、正直あまり良い印象がありませんでした。
当時はお豆腐自体そんなに好きではなかったから、どうせならパン屋かケーキ屋だったら良かったのに。。くらいに思っていて、ご主人と会ってもちょこっと頭を下げて挨拶する程度で親しく話をする事もありませんでした。
思い返すと職人気質の地味で真面目なおじさんだったような気がします。
その家の男の子が姉の同級生で、野球をやっていて坊主頭のやっぱり大人しくて地味な子でした。
引っ越した後、久しぶりに訪ねてみたらもうなくなっていました。
後は継がなかったのでしょう。。。

 あの店のお豆腐を今もう一度食べてみたいと思うけれど、きっと同じ味ではないんでしょうね。
あの時の味は、お豆腐の味だけじゃなくて、ガラス戸の開く音、朝もやの湿った匂い、大豆を煮る独特の香り、水槽に突っ込むおじさんのひび割れた手とおつりを渡してくれるおばさんの手についた硬貨の匂い、ごはんの炊ける匂いやぬかみその匂い。。。そんないろいろな記憶と結びついて覚えている「風景の味」のような気がするからです。